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![]() 列車は18:20発。旅行会社のおっさんとそのお母様がトゥクトゥクでスーパーへ行くついでに、私も相乗りして駅まで行くことになった。おっさんとはここでお別れ。短かったけど、ビエンチャン、ノンカーイはとてもよかった。これまで通ってきたアジアはどこも喧噪にまみれていたけど、ここに着て初めてゆるくリラックスできるアジアに出会えた。おっさんとはクリスマスマーケットでの再会を約束し、トゥクトゥクに乗り込む。 結構時間が押している気がするけど、お母様と私を乗せたまま旅行会社のおっさんが来ない。ドイツ語で会話したはずだけど、何を思ったのかいきなり、仕事しない奴は嫌いだ、と英語でこぼした。おっさんがまさにそれに当たる気がするけど、特に言及せずに留まる。道行くなか目につく、仕事をしてなさそうな人に対して言ったのかもしれない。このお母様は50年か、いやもっと勤労に勤めてきたのだから。人や土地や気候が違えば、人が思う事も無限大に違う気がした。 ![]() 駅に到着。おっさんは簡単にホームまでの通り道を教えてくれ、さらっと去っていった。このおっさんにも色んな歴史が詰まっているんだろう。トゥクトゥクは私はついで送ってくれると思ったから、払わなくてもいいのかと思ったけど、きっちり計算して支払わせてくれた。いざバンコクへ。荷物を置いたらとりあえず記念撮影。なんだか嬉しい。新幹線やICEみたいに日に何十本も走るんじゃなく、毎日数回の決まった時間にしかない列車。日常茶飯事に移動するためではなく、その1回を大切に乗り込む列車である。ファン付き2等の寝台車だけど、下より安かったから上にした。まもなく発車。辺りはだいぶ日が落ちて、既に暗くなっていた。 通路は挟んで横の青年。髪型と風貌からして不思議なアジア人はタイの参考書を持っていた。彼がどうやってここに辿り着いたのか想像がつきにくい雰囲気の人だった。リュックから、香港−ハノイ間に集めたライチのフルーツ缶を取り出し、食べることにした。若干重いのによくここまで運んできたもんだ。ただこのタイミングに食べるのにちょうどいい、適した食べ物だった。寝て、起きたら早朝バンコクに着いている。列車はちょうど一時間後くらいにウドンタニに停車した。駅の回りはなかなか賑わってそうな雰囲気があった。その後乗務員さんが回ってきて、2人向かい合わせで座っていた座席の上部を引き下ろし、上の人の寝床を作った。軽快にはしごを登り、シートをピンと張る様は、どの列車で見ていても気持ちがいい。はしごを登って自分の寝床に落ち着き、その値段の若干の差がわかった。下の人は窓があるから外が見れるけど、上の人は見れない。暗いから見た所でわからないけど、スペースや上り下りの負担からもその価格設定を理解した。 ![]() バンコクの予習をして、飛行機にちゃんと乗れる日にバンコクに着けることに安堵して眠った。上の寝床を解体する作業の音で起きると、到着の時間の30分ほど前だった。街に近づくに連れ、列車の速度は遅くなり、結局着いたのは1時間半遅れの8時だった。だからと言って差したって困ることはない。列車を降り、長い列車沿いを歩いてフアランポーン駅構内と対面。造りとしてはヨーロッパの駅のようなアーチ状の大きな駅。ちょっと腹ごしらえをしたのち、参考書での予習通り提示額の3分の1から交渉して、トゥクトゥクに乗りバックパッカーの聖地へと向かう。 (12,13. Feb.2009) <<前へ 次へ>> ![]() 当初おっさんはウドンタニ辺りまで車で送ろうかと提案してくれていたけど、私はおっさんと引き続きドライブをすることを想像した結果、乗り気になれなかった。車の不調もあり、Nong Khaiから鉄道でBangkokを目指すことにした。 車の修理後、すぐ近くのメコン川を眼下に見る、おっさんの友達の旅行会社でチケットを手配してもらうことになった。タイで生きるドイツ人のおっさん(2人目)を見て、また民族大移動に遭遇できたことを嬉しく思い、手応えを感じる。現代移動人類学とか勉強したら楽しいだろうな〜 ドイツ食糧品の販売、カフェもされてるので、外国人には利用価値アリです。おっさんは、彼はいい仕事をしているだろう、と満更でもなくちょっと羨ましそうだった。欧米人のおばあさんと犬がいるなと思ったら、そのおっさんのお母様だった。ドイツが寒い冬なので長期で滞在中らしい。私に向かって、あなたドイツ人なの?と聞いてくれた。私が笑いながら否定する前に、何故かおっさんが真面目にというか真剣に事実を伝えていた。 ![]() チケットが届くまで、ホテルのプールに泳ぎに行くことになる。おっさん的、年間半年バカンス中の日常的な過ごし方らしい。ホテルは街から西へ少し車を走らせたところにあった。ドアマンもいるし見るからに割とよさそうなホテルだけど、ユースホステル並みの値段で泊まれるらしい。目につく客がほとんど定年後の余暇を楽しむ欧米人(推測)というのもわかる。ここは都会じゃないし、流れる空気がゆったりしているので彼らにはぴったりなんだろう。 泳ぐ用意のいつも悪い私は水着未持参だったので、プールサイドで本でも読むかとブランコに定位置を探した。でも、目に入るのはビキニのおっさんと欧米人の老夫婦というのもどうかと思ったので、プールサイドから河原に出てメコン川沿いを散歩することにした。 この時はまっていた、Jack Johnson: Mediocre Bad Guys を聞きながら、ビエンチャンから渡ってきた友好橋をめざして歩く。セーヌ川やテムズ川の方が身近だった私にとって、地図上にしか存在していなかったメコン川に自分が浸っていることにひとり高揚して、ここまで流れてきた時間と距離を思う。橋のたもとでは少年たちがタイヤを道具にして川遊びしていた。国境の川で遊べるなんて、大陸に憧れる島国の人間からしたら目がキラキラしてしまう。メコン川で商売をする人の需要と供給のバランスを確認したら、おとなしく引き返すことにした。満たされた気分で戻ると、さっき降りたホテルの階段の上におっさんが待っていた。 ![]() チケットが届いたと連絡があったらしい。再び旅行会社へと戻る。戻る車中、外を眺めていると近距離ではないが、ドイツの黒パンらしきパンが並んでいるような景色が目に入った。いや、ここはタイなのだ。タイにもそれに似た食物か何かがあるのだろうと思った。チケットを受け取り、手数料で若干割り増しになった料金を支払う。自分でも取れるだろうけど、おっさんにも世話になったし、おっさん(2人目)にも知り合えたしよかったなと思う。 旅行会社に着いてから、姿を消していたおっさんが、黒パンを抱えて戻ってきた。やはりあれは紛れもなくドイツのVollkornbrotだったのだ。聞く所によれば、Vollkornを焼いているドイツ人(のおっさん(3人目))がいるらしい。侮るなかれドイツ人のおっさんたちの生態と生き様よ。今度行ったら私も是非、このVollkornを食べたいと思った。 (12.Feb.2009) <<前へ 次へ>> < 前のページ次のページ >
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